- 特定技能
技能実習制度の廃止はいつから?新制度での「転籍」はどうなる?
はじめに
現在、技能実習制度は発展的解消される方向で検討されています。
「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」にて、今後の技能実習・特定技能両制度にまつわる議論がされています。
有識者会議は令和4年の12月から行われており、第12回が先日10月18日に行われましたので、技能実習制度や特定技能制度の今後について、政府の発表をまじえて概要を解説します。
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議|出入国在留管理庁
左が現行の技能実習制度と特定技能制度の関係図となっています。
右が新制度と特定技能制度の関係図となっています。
現行の制度よりも、新制度と特定技能制度を一貫した制度と捉え、より人材育成を目的とした関係となっています。
現行の技能実習制度はこれまで日本で技術を母国に持ち帰る技術移転を目的として運用されてきましたが、今後は人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする新制度が創設されます。
また新たな制度においては、基本的に3年間の就労期間で特定技能1号の技能水準まで育成することが目標です。
また、今後も特定技能1号に関しては、家族帯同は認められないものとみられます。
技能実習制度の廃止はいつから?
有識者会議では、技能実習制度の廃止や新制度の創設について議論され、2022年12月から複数回に渡り会議が行われました。
2023年5月の中間報告によれば、新制度は特定技能への移行を視野に入れつつ検討が進められ、2023年秋に最終報告がまとめられ、実際の技能実習制度の廃止など制度変更は2024年以降に実施される予定です。
技能実習制度および特定技能制度の変更は、受け入れ企業に少なからず影響を与える可能性があるため、内容や方向性を把握するためにも是非ご一読ください。
新制度における受け入れ対象分野について
受け入れ対象分野について、現行の技能実習制度では全86職種158作業ありますが、新制度でそのまま適用されるということにはなりません。
新制度では特定技能1号への移行に向けた人材育成を目的としているので、特定技能制度における「特定産業分野」が設定される分野に限られます。
※「特定産業分野」は国内での人材不足が困難な分野として現在、全12分野で定められています。
また、新制度における外国人材が現行の技能実習よりも幅広く体系的な能力を習得できるように育成される予定です。
新制度では転籍ができるようになる?
現行の技能実習制度では、「やむをえない事情がある場合」以外は転籍が認められていません。
しかし、新制度においてはこの「やむをえない事情がある場合」の範囲を拡大し明確化していく方針です。
また、外国人労働者としての利権性をより高める観点からも、一定の要件の下でこれまでは認められなかった本人の意向による転籍も認められます。
一定の要件の下とは
・同一の受け入れ企業等において就労した期間が1年を超えていること
・技能検定(基礎級)等及び日本語能力A1(日本語能力試験N5等)に合格していること
ただし転籍をする場合は、一貫した人材育成のため現在就労している分野と同一の分野内に限ります。
新制度から特定技能1号への移行は?
新制度での特定技能1号への移行については、技能検定3級等以上又は特定技能1号評価試験への合格に加え、日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)への合格を
条件とします。
新制度で日本語要件はどうなる?
新制度においては、以下の要件が設けられ外国人材全体の日本語力向上を目指しています。
新制度就労開始前
日本語能力A1相当以上(日本語能力試験N5等)への合格または、入国直後の認定日本語教育機関等における相当の日本語講習の受講
※後者の場合、新制度の1年目終了時に試験合格が確認されます。
特定技能1号移行時
日本語能力A2相当以上(日本語能力試験N4等)への合格
※制度の移行期間となる当分の間は、認定日本語教育機関等にて相当な講習受講をした場合も認められます。
特定技能2号移行時
日本語能力B1相当以上(日本語能力試験N3等)への合格
まとめ
これまでの有識者会議での方針によれば、現在の技能実習制度を特定技能制度に統合していく方向性が見えてきました。
今後、新制度の具体的な内容や運用についてさらなる議論が行われますが、外国人の雇用は日本で一層増加する見込みであると思われます。
政府の今後の発表には引き続き注目が必要です。