- 特定技能
特定技能外国人の定着、早期転職を防止するための取り組みとは?
日本の労働人口を支えるための制度として2019年に開始された特定技能制度はご存知でしょうか。
これまでの外国人雇用でメジャーなものとして技能実習制度がありますが、
特定技能と技能実習の大きな違いの1つとして、 特定技能制度では転職が認められていることがあげられます。
よりよい環境や待遇を求めて、転職をする人材もいます。
しかし、特定技能者を雇用する企業の中には「可能な限り継続して同じ人材を雇用したい」という方も多いのではないでしょうか。
長く就労してもらうことで、より自社でのスキルを身に付けて大きな役割を任せることも可能です。
今回は、 特定技能者の転職の現状や、転職を防ぐコツなどを実際に特定技能者へのインタビューも交えてご紹介します。
一定期間同じ会社で就労している特定技能者40名を対象に、
仕事へ対する意識調査についてのアンケートを実施しました。
特定技能者の年齢層
まず初めに、特定技能人材の年齢層についての調査結果です。
年齢層として、20代半ば~30代前半の特定技能者が多いです。
特定技能者では、技能実習生から移行した人材が多く、こういった人材の場合は約3年から5年間母国へ帰国していないケースも多々あります。
そのため、 特定技能に移行したのちにどこかのタイミングで一時帰国をしたいと思う特定技能者が多いと考えられます。
さらに、20代後半~30代前半のライフイベント(結婚・両親の介護等)が増えてくる年齢層のため、長期の一時帰国の希望も増えます。
よくある一時帰国の希望としては、結婚のため相手方両親への挨拶などもあります。
特定技能者を雇用する場合は、このような一時帰国の可能性があることを念頭に置きましょう。
一時帰国については、突然1ヵ月帰国して仕事に穴が空いてしまうなどにならないためにも予め期間やタイミングなどを相談しておいたり、雇用時にルールを決めておくとよいでしょう。
仕事を選ぶとき大切にしていることは?
次に、特定技能者に仕事を選ぶ基準についてアンケートを取りました。
実際に、特定技能者を募集する求人の中でも多くの人材が希望する求人となかなか応募が集まらない求人とに分かれています。
特定技能者が仕事を選ぶ基準を知っておくことは、人材の定着だけではなく採用面においても参考になります。
1位:給与(30票)
2位:人間関係(23票)
3位:仕事内容(22票)
4位:残業・夜勤があること(21票)
5位:成長できる環境(20票)
特定技能者の多くは、日本で働いて稼いだお金を母国の家族などに仕送りをしており、より多く稼ぎたいという気持ちがあるようです。
そのため、仕事を選ぶ土台となるのはやはり給与ですが、それ以外の2位~5位の要素は、大差ない結果となりました。
人それぞれ仕事で重視することが異なるため、その会社にマッチする人材を採用することや、評価制度を取り入れる・技術や日本語が学んで成長できる環境作りなどの取り組みをするとよいでしょう。
職場のコミュニケーションについて
次に、特定技能者の職場の日本人とのコミュニケーションについてのアンケートを取りました。
会社の人とのコミュニケーションについて、アンケートを取ったところ、
従業員の方々と業務範囲のみならずプライベートでも関わりたいと考えている人が約9割でした。
仕事を選ぶ基準として給与の次にもあげられていたように、 職場での人間関係を重視する人が多い傾向です。
ランチタイムやミーティングの機会などで、コミュニケーションを取る機会を増やしておくことも、定着の要因になりそうです。
また、地域イベントへの参加や社員旅行などを開催している受入れ企業もいらっしゃいます。
特定技能者の定着ポイント5選
特定技能者の年齢層や、どのようなことを大事にしているか、がアンケートにより分かりました。
では、実際に特定技能者を受け入れる際に定着の鍵となるポイントを5つ、ご紹介します。
ポイント①ライフステージ変化への理解
結婚・出産・親の介護などといったライフイベントが目白押しの世代である20代半ば~30代前半が特定技能者の大半を占めています。
これに伴い、長期休暇取得の希望、一人暮らしや運転免許の取得など自立した生活を考える特定技能者が増えてくる傾向があります。
日本の法律や会社独自のルールなどを事前に説明し、双方が納得のいく形で 特定技能者のライフステージ変化に合わせて柔軟に対応できることが望ましいでしょう。
ただし、突然の一時帰国希望や退職などは、業務に影響を及ぼします。
全ての要望を叶えられない場合もありますので、その際は、予め受入れ企業・特定技能者、登録支援機関を交えて話をし、共通認識をもつことが重要になります。
ポイント②給与設定
特定技能者が仕事を選ぶ上での土台であるのは、やはり給与です。
アンケート結果でも、給与を選ぶ人が1番多い結果となりました。
しかし、特定技能者雇用の際には、日本人従業員と同等の給与設定を行う必要がありますので、
特定技能者だけ高い給与を設定する必要はありません。
給与設定のコツとして、〇年目になれば〇円昇給、〇〇ができるようになれば〇円昇給などの 基準を示しておくことも定着のポイントとなります。
ポイント③成長できる環境であること
また、特定技能者にとって成長できる環境であるかということも、仕事を選ぶ上で大事にしている特定技能者が多いことがわかりました。
給与だけでなく自己成長を重要視している特定技能者も多いため、採用時に具体的な仕事内容の説明や、採用後に期待するポジションをイメージさせることで候補者とのマッチングを図り、 技術面・日本語面でも成長できる環境を一緒に作っていくことが定着に繋がるでしょう。
ポイント④評価制度の確立化
給与・残業や夜勤があるかは特定技能者にとって重要項目であるとポイント②で述べました。
それに加えて、給与内訳の提示・残業夜勤の有無や頻度を伝えるかつ、 評価制度を確立することでモチベーションがアップし定着へ繋がるのではと考えられます。
例えば、日本語能力試験に合格したら昇給、〇〇ができるようになったら昇給等、わかりやすい基準や目標を設け、頑張ったら給与が上がることを身をもって実感してもらうとモチベーションがアップします。
ポイント⑤職場の人間関係が良好であること
仕事を選ぶ上で大事にしていることで上位であった職場の人間関係。
職場のコミュニ ケーションについての質問でも、約9割が同僚の方々とコミュニケーションを取りたいという結果でした。
個人差はありますが、定期的な業務ミーティングや面談、食事会や社員旅行等といったコミュニケーションの機会を作り、日頃から良好な人間関係・心理的安全性の高い職場環境を築けていることも定着のポイントであると考えられます。
いかがでしたでしょうか?
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