企業様インタビュー
受け入れ企業プロフィール
株式会社武井工務店(建設業・埼玉県川口市)
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事業内容
新築・増改築、各種リフォーム、倉庫・工場の建築及び修繕 -
海外人材活用状況
2017年から海外人材の受け入れ開始。
2024年1月時点では、ベトナム人特定技能人材が2名在籍しています。
目次
まず初めに、海外人材を受け入れたきっかけを教えてください。
きっかけは6年前です。採用活動を行っても、ほぼほぼうまくいっていませんでした。
新卒・中途採用ともにうまくいかず、採用ができてもみんなすぐに辞めていってしまう。
何か良い方法がないかを考えたところ、知り合いの会社が何社かベトナム人技能実習生を受け入れており、実際どうなのか聞いてみたところ、「すごく真面目だよ」と言われて、そういう道もあるんだなあと興味を持ったことがきっかけです。
受入れ前は、彼らにどんなことを期待していましたか?
最初の方は、猫の手も借りたいくらいの忙しさだったので、技術的な期待はほとんどしていませんでした。
期待していなかったというとちょっと違いますが、当時の技能実習の制度上、3年しかいられないと思っていたので、せっかく時間をかけて教育しても一人前の大工になるのは難しいかと思っていました。この仕事の性質上、大工さんが一人で現場を回るより、新人さんと大工さんが2人で回る方が、作業効率が2倍以上に上がります。
大工さんが主に段取りをし、新人の技能実習生には技能を学びながら一緒に作業をしっかりやってくれればなと思っていました。
そういった意味での期待はしていましたね。
ずばり、入社後のギャップを教えてください!
こんなにもやる気や向上心があるとは思っていませんでした。
最初は実習をしっかりやってくれればいいと思っていましたが、入社して1年くらい経った時に、こんなにできるならもっと覚えてもらって、より高い技術を身に付けてもらおうと思いました。
また、彼らの熱心に取り組む姿勢を見て、3年経ってベトナムへ帰ってからも彼らが活躍できるようにしてやりたいとまで思えるようになりました。
彼らを受け入れる決断をして、本当に良い選択をしたなと思っています。
それくらい今在籍している2人は意欲的で、よく成長してくれ、会社への影響力が大きいです。
彼らの良さは、どんなところにありますか?
「一生懸命に働いてくれる!」この一言に尽きます。
受入れ前は、こんなにやる気があるとは思いませんでした。
カイさんはもう6年目で、タイさんは4年目。二人とも先輩として、日本人の若い大工を教える立場にまで成長しています。
ちなみにカイさんは、親方もやっており、日本人よりも厳しい職人さんですね。
では、海外人材を受け入れるにあたって大変だったこと・不安だったことはありますか?
海外の方を受け入れるのは初めてだったので、最初は右も左も分からず不安が大きかったです。
例えば生活面でいうと、皆で寮に集まってワイワイ騒ぎ、近隣の方々に迷惑をかけないか心配でした。
弊社は地域との繋がりが濃いので、万が一ご迷惑をかけた時のために、近隣の方々には、定期的に菓子折りを持って挨拶しに行っていました。結局迷惑をかけたことはありませんでした。
今は、もし彼らが間違ったことをしていたら、きちんと日本のルールやリスクを伝えています。
特定技能へ移行して、自動車免許を取得したので、車を購入するなら必ず保険に入るように言うとか、彼らが何かあったときに困らないように注意はしています。
また、受入れ前は取引先お客様に、どう思われるかもすごく気にしていました。
弊社は住宅のリフォームも手掛けているため、一般のお宅に伺って作業することもあります。
その際にお客様から何か言われたら、もうその現場には海外の方はいれないようにしようと思っていたりもしました。
しかし、海外の方だからと言って何か言われたことは一回もなかったですね。
逆に日本人の方が、雑だとクレームが入ってしまったことがあります。
最初は色々な不安や悪いことを想定してしまっていましたが、むしろ「すごく一生懸命やってくれていますね。ありがとう。」とお客様からお褒めの言葉をいただくこともあります。
私も“うちで一番優秀なんですよ!”なんて言っちゃいます。
海外の方を雇用する際、大事にしている考えを教えてください!
あえて考えたことはなかったですね。一社員として普通に接しているだけ。
他の大工さんたちも同じように思ってます。
たまたまベトナム人が弊社に入社してきて、日々接していたらとてもやる気があって、成長してくれて。
3年経ったときには“お前帰るんじゃねぇ~いてくれぇ~”くらいになっていたので、会社にとって必要な人だなと思っているだけです。2人がいなくなったら会社が回らなくなっちゃうくらいに。
日本人にないところとして、彼らは母国へ一時帰国をすることもあるので、そういう時は「皆(現場の大工さんたち)に相談してから」と言ってます。
先日、カイさんが1か月ほど一時帰国しました。
カイさんは弊社にとって大きな戦力だから、1か月もいないと正直困ってしまいますが、カイさんも家族にも会いたいだろうし、コロナ禍でずっと帰っていないから、皆も理解してくれました。
今年はタイさんが結婚のため、1~2か月帰る予定です。もう4年も帰国していないし、それは仕方ないことだと思っています。そのあたりは柔軟に考えてますね。
2人の日本語力の向上のために、何か意識したことはありますか?
仕事中はベトナム語を控え、極力日本語を使うよう意識して指導してきました。
弊社の業務は、様々な業者さんが関わるのですが、そのやり取りも彼らに日本語でやらせていました。
二人とも日本語能力試験N3を持っています。
あとは、社員には様々な建設業の資格を取らせているのですが、それと同じように2人にも試験を受けてもらってます。
もちろんベトナム語はないので日本語で、日本人と同じように。
2人とも特定技能2号になるためにも、資格を取る必要があるので、取れるだけ取ってもらおうと思っています。
今年中に作業主任者、職長教育といった資格を取得してもらうことが目標です!
これから海外人材受入れを検討されている企業様へアドバイスをお願いします!
日本人の採用に困っているなら、ぜひ海外人材を採用してみてほしいです。
他の業種は分からないですが、建設業には募集しても人が来ない会社が多いと思うので、こんなに真面目に一生懸命に働いてくれる人たちがいるなら、採用しない手はないと思います。
そして彼らを受入れて一番良かったのは、会社の体制づくりができたこと。
彼らを受け入れるために、労務面で会社の体をなさないといけない。
様々な面をクリアして、必要最低限の会社にはなったなと思っていますし、そういうベースができたからこそ、今では日本人の採用もできるようになっているんだと思います。
工務店は家族経営みたいなところもあるのですが、この二人の受入れがきっかけで、本当に会社が変わりました。
人が採用できて、人が育ってくると会社が成長する。6~7年前の売り上げの4倍にまでなりました。
今の弊社があるのは、本当にこの二人おかげなんです。ぜひ、迷っている会社さんは受け入れてみてほしいです。