日本人と変わらない働き方で

　私は現在、CADやCAMを用いてワイヤー放電加工のプログラムを作成し、その検査も担当しています。仕事をしていて楽しいことが二つあります。一つは、新しいことを教えてもらい、それを理解して会社の役に立てた時です。もう一つは、上司から「助かったよ」と言っていただけた時で、この瞬間に大きなやりがいを感じます。

　また、今では慣れましたが、入社したばかりの頃は、日本人特有の「空気を読んで動く」ということがとても難しかったです。しかし、日々のコミュニケーションを通じて、少しずつ理解できるようになりました。

　上司に相談しやすい職場なので、今でも難しい壁にぶつかった時は、周りの人に積極的に助けを求めています。

これまでの目標を叶えてこれからの目標へ

　ベトナムでは、幼い頃からパナソニックや日立といった日本の家電製品、ホンダやヤマハのバイクに囲まれて育ったため、自然と日本に憧れを抱くようになりました。私は高校生の頃から、「将来は日本で働く」という明確な目標を持っていました。そのために、大学では機械工学を専門的に学びました。

　日本の四季や美しい自然にも強い興味があり、以前、宮崎県の高千穂を訪れた際には、心から感動しました。

　今の私の夢は、日本で自分の家を持つことです。先日、念願の自動車を購入したので、次は新築の家を購入できるよう、仕事に全力で取り組んでいきたいと思います。

大きな期待

　TUANさんの、仕事の丁寧さと行動力の素晴らしさを評価しています。自分の担当業務だけでなく、自ら他の部署に確認を取りに行ったり、「違う部署のことも分かれば、より理解が深まるから知りたい」と真面目に学ぶ姿勢を見せてくれています。

　また、彼の行動力には驚かされています。昨年、運転免許を取得した際に「車を購入したい」と相談してくれましたが、一つ目の店で気に入るものがなかったと知ると、その日のうちに別の自動車販売店に足を運んで、そのまま購入を決めていました。そのスピード感には、さすがだと感じました。

　このように強い意志を持っている一方で、仕事においては謙遜する一面も持っています。覚えも早く、理解力も抜群なので、本当はもっとリーダーとしての素質があると思います。今後は、もう少し強引になっても良いので、リーダーとして周囲を引っ張っていってほしいと期待しています。

区別はしない、日本人と同じ教育

　当社では、外国人従業員にも日本人従業員と同様に、不良が発生した際には不良報告書を作成してもらっています。その報告書には、不良の原因、再発防止策、そして今後の改善点をまとめてもらい、上司に報告していただきます。

　外国人だから日本語ができないので読まなくてよい、ということはありません。日本人と同じように取り組んでもらいます。目で見て、手で覚えて、五感で覚えてほしい。それが、当社の教育方法です。この方法を通じて、日本語も同時に習得できます。日本人と同様の方法で、日本人と同じようにキャリアを繋いでいってほしいと思っています。

今回のインタビューでTUANさんが通訳なしで日本語で受け答えをしてくれました。お互いの文化を尊重しつつも、仕事においては日本人と外国籍の社員を区別しないという姿勢が、人材の成長につながっているのではないかと感じました。